池月
あらすじ
その昔、九州一大きな池田湖には不思議な事がよく起こった。日照りの時に水嵩が増えて近くの田畑を水浸しにしたり、風もないのに波が立ち、また湖の水が突然渦流をまいて水柱が天空に昇ることさえあったと。
この湖には、昔から白い龍が棲んでおり、不思議なことは全てその龍の仕業だと云われていました。
湖の近くには牧場があり、あるとき雪よりも白い母馬に仔馬が産まれ、仔馬も真っ白だった。
ある日二頭の白馬は牧場の柵を飛び出して人が寄り付かない池田湖に入ってしまう。馬飼いはこれに驚いたが「池田湖には近寄らない方がいい」と放っておくと、夕方になって二匹はちゃんと帰ってきた。それから毎日、白馬はどんな天気でも池田湖で泳ぐようになり仔馬もだんだん逞しく見事なものになった。
「遠い昔の山幸尊が竜宮から連れ帰った龍馬の子孫にちがいない」その評判は九州一帯に広まり、やがてついに鎌倉の頼朝公の耳にまで入った。「何としてもその子馬を手に入れたい」と頼朝公の命によって仔馬は鎌倉へ運ばれる事になる。
仔馬が鎌倉へ連れていかれた後、母馬は湖へも行かず草も食べなくなってしまったが、仔馬と別れて7日目、突然柵を乗り越え走りだして池田湖に飛び込むと円を描いて泳ぎだした。そして大きな渦流が起こるとその中に呑み込まれてしまった。
里の者は憐れな母馬を偲んで湖の岸辺に観音様を祭るようになり、一方仔馬は「池月」と名付けられ頼朝公の元で後に大層な活躍をしたという。
ナレーション 市原悦子
出典 鹿児島の伝説(角川書店刊)より
出典詳細 鹿児島の伝説(日本の伝説11),椋鳩十,角川書店,1976年10年10日,原題「池月」
場所について 池田湖
🐎🐎
とっても哀しいお話です。
池田湖 小浜に馬頭観音があります。
1月18日日は母馬の命日であり
この日を毎年、馬頭観音まつりと
母馬の霊を祀る。
池田湖にうつる
自分の姿を子馬と想い
飛び込んでいく母馬の気持ちを考えると
涙がでます。
池田湖ほとりの私の店「遊美ごころ」から見える池田湖は
いつも静かに私を見守ってくれている気がします。
この
景色が好きで
20年前に家をたてました。
亡き父が
私に残してくれた宝物の景色です。
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